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更新日:2024年4月8日
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One23Vol.56(2024春号)掲載
本資料は、江戸時代に尾張屋によって発行された『江戸切絵図』です。幕末の嘉永2(1849)年からシリーズの刊行が進められ、修正を加えながら明治3(1870)年まで刊行されました。本図は江戸の市街や近郊地域を分割して編さんした地図集となっており、大名の上屋敷、中屋敷、下屋敷、神社仏閣、町家、また地名や名所にいたるまで詳細に記載されています。
この地図は、嘉永3(1850)年に発行された「麴町永田町外桜田絵図」です。地図に示されている場所は現在の千代田区の一部にあたります。
江戸城の南側で、大きな大名屋敷が立ち並んでおり、桜田門の近くには上杉家、松平家、井伊家などの上屋敷(大名やその家族が居住した屋敷)が見られます。地図右下の「日吉山王大権現社」は、赤坂にある日枝神社で、現在も同じ場所にあります。
尾張屋の『江戸切絵図』の特徴は、多色刷りで色鮮やかな絵図であることです。神社仏閣は赤色、道路や橋は黄色、町家は灰色、川や堀などの水地は青色、山林などの緑地は緑色に色分けされています。また、浅草寺や神田明神などの有名な寺社には建物や樹木が描かれており、大名の上屋敷には家紋が描かれています。
版元の尾張屋は錦絵や草紙類を扱う地本問屋だったため、このようなデザインを重視する絵地図が生まれ、人気を呼びました。
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