特別区協議会は特別区(東京23区)の自治の発展を目的として設立された公益財団法人です
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更新日:2019年5月7日
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昭和27(1952)年発行
One23Vol.29(2017年夏号)掲載
今回は、遡ること65年前に発行されたレトロな小冊子「都民の手帖」をご紹介します。
この冊子は、今でいうところの区役所が配布している「くらしの便利帳」のようなものです。
表紙は、五街道の起点となる日本橋の風景で飾られ、左側は江戸時代の日本画、右側は昭和20年代当時の写真と、ツーフェイスの粋なデザインとなっています。
さて、さっそく手帖の中身をのぞいてみましょう。
面積2,031㎢、人口700万人など東京都の統計数字から始まり、公共施設の一覧表などがコンパクトにまとめられています。四季の案内ページには、秋は台風による水害があったこと、国鉄(現在のJR)・私鉄の路線図には、都電やトロリーバスの路線が描かれ、現在とは異なる様子が見てとれます。
都民にはあまり嬉しくない都税一覧表も掲載されています。「芸者への花代、税率は料金の100%」‥‥。昔はなかなか厳しかったようです。
ページの合間に差し込まれた広告も、時代を感じさせるものです。テレビ放送は昭和28年に開始されたため、この当時
はラジオ局の広告が並んでおり、その他百貨店、ガス会社のものもあります。広告収入を作成費用に充てるというこの仕組みは、半世紀以上も前の先人の知恵だったのですね。
国鉄・私鉄の路線図
「施設あんない」のページでは、公共施設の住所、電話番号などが一覧で掲載され、現在と変わらぬ23の区役所が名を連ねています(23区は昭和22年に誕生)。
本書が発行された昭和27年は、23区にとって大きな転換を余儀なくされた一年でした。同年に改正された地方自治法によって、23区は東京都の内部的な団体になるとともに、区長公選制が廃止され、大きな制度改革が行われたからです。
そんなさなか、東京都の手により本書が配布されていたのです。
施設案内
昭和20年代は、戦後間もない復興期であるとともに、地方自治もまだまだ発展途上にあった激動の時代です。茶色く変色し、ところどころ破れた本書は、そんな時代に生きた人々の思いを伝えてくれるどこかノスタルジックな一冊になっています。
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