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更新日:2024年3月11日

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所蔵資料蔵出し「特別区はこれでよいのか」

特別区01 特別区02

昭和32(1957)年発行

One23Vol.46(2021秋号)掲載

今回は、東京都政調査会(シンクタンク。1982年解散)発行の「特別区はこれでよいのか」を紹介します。本書が発行された当時、東京都と特別区の間で問題になっていたのが、特別区の性格を「自治区」とすべきか「行政区」とすべきかという点です。区民の生活と権利に直接かかわる大切な問題にもかかわらず、政治への関心が薄い区民には都区の縄張り争いのように捉えられていました。そこで、この印象を避けるべく世論喚起のために特別区と協力したのが、多くの学識者が参画する財団法人であった東京都政調査会です。世論の支持なくして根本的な問題解決を図ることはできないことから、東京都政調査会は本書を作成して特別区の自治権確立の意味や現状の問題点を誰にでも分かるようにアピールしました。

なぜ「特別区」とよぶのか

本章では、昭和22(1947)年の地方自治法制定により、特別区が「基礎的な自治体」として誕生した意味をわかりやすく解説している点が特徴的です。「特別区という制度は戦後の新しい地方自治法による産物である。正確にいうと昭和二十二年五月にできた。その前は区であつても特別区ではない。」、「特別の二字には非常に重要な意味がある。いわば古い区役所とまつたく性質の違つた自治団体として生まれ変わつた意味がそこには表現されているのだ。」としています。「特別区」という名称については、「新らしくできた区は、住民の負担と意思で管理される自治団体なのである。だがよその市とは少し違う。しかし住民自治という点ではむかしの区とは一そう違う。そこで特別区という名称が用いられたのである。」と述べられています。

特別区の自治権確立のために

本書が作成された当時、中央集権化の流れによって特別区の事業は極度に制限され、地域の住民に直結した行政は都の出先機関に分散されていました。このような特別区の制度と現状について、本書では、都と区はどちらも「区民の便利と区民の権利のために」これを改めようとしているけれど、特別区を行政区としたい都と、自治権拡充を目指す特別区では考えがまったく逆であると指摘しています。そのうえで、特別区制度の改革には、区長公選制の復活、特別区を制限自治区とすること、住民に密着する事務を都から区へ移譲すること、事務移譲に見合う合理的な財源配分の4つが必要であると述べられています。

お問い合わせ

所属課室:事業部調査研究課

電話番号:03-5210-9683

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